大判例

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広島高等裁判所 昭和25年(う)1053号 判決

税務署出納員が直接内国税の徴収、滞納処分等に関する職務権限がないことは所論のとおりであるが原審証人佐竹義雄の証言によれば被告人は会計法上の出納員たる地位にあると同時に福山税務署総務課勤務の雇として大蔵事務官を補佐し、内国税の徴収滞納処分に関する職務に従事していたものであることが認められる。原判決の判示は言葉使いにやや妥当を欠くきらいはあるが被告人の職務に関する認定には誤がない。従つて右職務に関し賄賂を収受した事実につき被告人を収賄罪に問疑したのはもとより正当であつて原判決はこの点につき事実誤認もなく審理不尽もない。論旨は理由がない。

(二) 同第二点について。

原判決挙示の証拠によれば原判決判示第三の一の事実(福山木材株式会社に関する収賄事実)を認めることができる。又被告人に直接税金の徴収猶予をする独自の権限がないとしても徴収猶予等につき便宜を与える趣旨で賄賂を収受すれば前記(一)に説明した如くその職務に関するものとして収賄罪が成立するものと解すべきである。従つてこの点につき原判決には何等事実の誤認はない。

(中略)

(五) 追加控訴趣意について。

記録を調査するに被告人が原審相被告人小坂治郎から収賄したという起訴事実に関する事件と、小坂治郎が被告人に贈賄したという起訴事実に関する事件とが併合審理され且つ右の贈賄と収賄とが起訴状によれば同一事実に対する表裏の関係に立つものであること、両被告人につき同一の弁護人が公判前(併合前)時を異にして両被告人から各別に選任され(被告人山崎の選任が前)其の後併合され同一公判に立会して両被告人の為、弁護に当つたことが認められる。しかし贈賄と収賄とは共犯的関係に立つものであつて加害者対被害者の立場とは異なり一概に利害相反するものと断ずることはできない。これを本件について見るに原審相被告人小坂は原審第一回公判の冒頭陳述で贈賄事実を認めながらその後の公判に於て右事実を否認しておるのであるが、本件被告人たる山崎は右収賄事実につき終始公判廷で自白しているのである。したがつて相被告人小坂と同一の弁護人が被告人山崎の弁護人として公判に立会しても、被告人山崎の為には実質上格別の不利益はなく弁護人の正当な弁護権の行使を妨げられる結果とはならない。従つてかかる場合には被告人山崎の為相被告人小坂と同一の弁護人が被告人山崎によつて私選され、公判に立会したことは違法とは認め難く被告人山崎に対する公判手続を無効ならしめるものではない。

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